
アパート経営の年間キャッシュフロー表の作り方 ── 手残りを1枚で見える化
アパート経営の年間キャッシュフロー表の作り方 ── 手残りを1枚で見える化
結論
キャッシュフロー表は「入ってくるお金」と「出ていくお金」を12か月分並べるだけです。難しい関数は不要で、横軸に月、縦軸に費目を置きます。ポイントは①修繕費を年間で均す、②返済額は元本込みで引く、③税金は支払月に置くの3点。この3つを守るだけで、資金ショートの予兆が見える表になります。
- 構成
- 12か月 × 費目
- 必須
- 返済は元本込み
- 目的
- 資金ショートの予兆
01なぜ損益計算書では足りないのか
確定申告で使う損益計算書(収支内訳書)は、「その年の儲け」を示すものです。一方キャッシュフロー表は「その月に現金がいくら残るか」を示します。この2つは別物です。
| 項目 | 損益計算書 | キャッシュフロー表 |
|---|---|---|
| 目的 | 税額の計算 | 資金繰りの管理 |
| 返済額 | 利息のみ経費 | 元本+利息の全額を支出 |
| 減価償却費 | 経費に計上 | 支出ではないので含めない |
| 修繕費 | 発生時に計上 | 発生月に大きく動く |
よくある誤解が「帳簿では黒字なのに、手元にお金がない」というケースです。原因は、元本返済と修繕費の支払いが帳簿上の損益とタイミングがずれることにあります。
02表の構成(行と列)
エクセルでも手書きでも構いません。次の構成で作ります。
| 行 | 内容 |
|---|---|
| ① 賃料収入 | 入金月ベース(前月分が翌月入金なら、その月に置く) |
| ② その他収入 | 駐車場・更新料・礼金・共益費 |
| ③ 管理委託料 | 毎月 |
| ④ 固定資産税 | 納付月(多くは6月・9月・12月・3月の分割 or 一括) |
| ⑤ 保険料 | 更新月(5年一括なら5年に1回) |
| ⑥ 修繕費 | 予定分を月割り+突発分は予備費として |
| ⑦ その他経費 | 点検・清掃・広告 |
| ⑧ ローン返済 | 元本+利息(全額) |
| ⑨ 所得税・住民税 | 納付月(6月・11月など) |
| ⑩ 当月収支 | ①+②−③〜⑨ |
| ⑪ 累計残高 | 前月の累計+当月収支 |
列は1月〜12月、そして「年間合計」を右端に置きます。⑪累計残高がマイナスになる月があるかどうかが、この表の最重要ポイントです。
03費目の並べ方と注意点
修繕費は「予定」と「予備費」に分ける
外壁塗装や屋根の更新は時期が読めます。10年後に300万円なら、年間30万円を毎月2.5万円ずつ積む形にします。加えて、突発故障に備えて月1万円程度の予備費を置くと安心です。
税金は「納付月」に置く
固定資産税は4〜6月に通知が届き、多くの場合6月・9月・12月・3月の4回払いです。所得税・住民税は6月と11月に集中します。この2つの山が重なる6月は、資金が最も苦しくなる月です。
入金月と発生月を揃える
「12月分の家賃が1月に入金される」契約では、1月に計上します。管理会社の送金明細は「賃料の発生月」で整理されていることが多いため、自分の表もどちらかに統一します。
04記入例|木造8戸の1年間
満室月48万円・稼働率95%・ローン返済月20万円(元本込み)・固定資産税32万円(4回払い)の例です。
| 月 | 収入 | 経費 | 返済 | 当月収支 | 累計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1月 | 45.6万円 | 6.5万円 | 20.0万円 | +19.1万円 | 19.1万円 |
| 2月 | 45.6万円 | 6.5万円 | 20.0万円 | +19.1万円 | 38.2万円 |
| 3月 | 48.6万円 | 14.5万円 | 20.0万円 | +14.1万円 | 52.3万円 |
| 4月 | 45.6万円 | 6.5万円 | 20.0万円 | +19.1万円 | 71.4万円 |
| 5月 | 45.6万円 | 6.5万円 | 20.0万円 | +19.1万円 | 90.5万円 |
| 6月 | 45.6万円 | 22.5万円 | 20.0万円 | +3.1万円 | 93.6万円 |
| 7月 | 45.6万円 | 6.5万円 | 20.0万円 | +19.1万円 | 112.7万円 |
| 8月 | 45.6万円 | 10.5万円 | 20.0万円 | +15.1万円 | 127.8万円 |
| 9月 | 45.6万円 | 14.5万円 | 20.0万円 | +11.1万円 | 138.9万円 |
| 10月 | 45.6万円 | 6.5万円 | 20.0万円 | +19.1万円 | 158.0万円 |
| 11月 | 45.6万円 | 16.5万円 | 20.0万円 | +9.1万円 | 167.1万円 |
| 12月 | 45.6万円 | 18.5万円 | 20.0万円 | +7.1万円 | 174.2万円 |
この例では年間の手残りは約174万円、月平均14.5万円です。ただし6月は+3.1万円まで落ち込みます。ここに修繕が重なると一気にマイナスです。累計がマイナスになる月がないかを確認し、あれば「6月以前に現金を厚くする」などの対策を打ちます。
05表から読み取る3つのサイン
- 累計残高が一度でもマイナス:資金繰りが危険。運転資金の追加か、返済条件の見直しが必要
- 特定の月だけ大きく落ちる:税金と修繕の重なり。支払月の分散や積立で平準化できる
- 年間の手残りが返済額の10%未満:空室1戸で赤字になる水準。収支改善か借入の見直しが必要
06よくあるご質問
Q. エクセルのテンプレートはありますか?
Q. 減価償却費は入れますか?
Q. 修繕費の予定はどう立てますか?
Q. 空室が続いた場合の表は?
Q. 表の作り方を教えてもらえますか?
1枚の表で、資金ショートは防げます
毎月の手残りと、最も苦しくなる月。この2つが見えるだけで、判断の質が変わります。収支表の作り方からご相談ください。
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