賃貸物件の和室から洋室へリフォームする方法は？人気の理由や費用の目安も紹介
古い賃貸物件を所有されている方の多くが、「なかなか新しい入居者が決まらない」「お部屋の魅力をもっと高めたい」と感じておられるのではないでしょうか。特に和室がそのまま残っているお部屋は、現代の入居者ニーズとのギャップが生じやすい傾向があります。そこで、今注目されているのが、和室から洋室へのリフォームです。この記事では、なぜ今「洋室化」が選ばれているのか、そのメリットやリフォーム時のポイント、さらには手軽にできるアレンジ方法まで分かりやすく解説いたします。
和室から洋室へリフォームするメリット
賃貸物件において、和室を洋室へリフォームすることには、オーナー様にとって大きなメリットが期待できます。
まず、入居率の向上が見込まれます。畳は掃除がしづらく、ダニやカビの原因にもなりやすいため、若い世帯を中心に敬遠されがちです。一方、フローリングの洋室では家具配置の自由度が高く、ロボット掃除機や水拭きにも対応しやすくなることで、入居希望者に好印象を与えやすいです。
次に、メンテナンス性の向上があります。畳や襖は定期的な表替えや張り替えが必要ですが、洋室にすればフローリングの傷補修やクロスの貼り替えなど、比較的簡単で低コストな作業で済むため、原状回復費用やクリーニング費用を抑制できる可能性が高まります。
さらに、時代や世帯のライフスタイルの変化に対応しやすい点も大きなメリットです。子育て世帯ではベッドや学習机の配置が容易であり、ご高齢の方には布団よりベッドが利用しやすい環境を提供できます。また、将来的に車いす対応を考慮する際にも、洋室のフラットな床や収納は有利に働きます。
以下に、これらのメリットを整理した表をご用意しました。
| メリット | 内容 | 賃貸オーナーへの利点 |
|---|---|---|
| 入居率向上 | 掃除しやすい・家具配置の自由度 | 空室期間の短縮・魅力向上 |
| メンテナンス性の向上 | 原状回復費用の低減・掃除の簡便化 | 経費削減・管理負担の軽減 |
| ライフスタイル対応 | 子育て・高齢者・将来のニーズへの柔軟性 | 広い層への訴求・資産価値の維持 |
洋室化に必要な主なリフォーム内容と費用概要
和室を洋室にリフォームする際、主に床・壁・押し入れなどを改修する必要があります。以下に代表的な工事項目とその費用目安を表にまとめました。
| 工事項目 | 内容 | 費用目安（6～8畳の場合） |
|---|---|---|
| 床：畳 → フローリング／クッションフロア | 畳撤去・下地整備・フローリングまたはクッションフロア張り | 10～35万円（フローリング）、7～20万円（クッションフロア） |
| 壁・天井のクロス貼り替え | 和壁や古い壁面を洋風クロスに張り替え | 10～30万円 |
| 押し入れのクローゼット化・襖の洋風建具化 | 押し入れ内部造作・扉交換など | 20～30万円（クローゼット）、5～20万円（洋風扉） |
まず、床を畳からフローリングへ変更する工事では、畳を撤去して下地を組み、フローリング材を張り替えるため、費用相場は約10～35万円です（6～8畳想定）。また、クッションフロアを用いる場合はやや費用を抑えられ、7～20万円程度という情報もあります。
次に壁や天井のクロスを洋風に貼り替えるリフォームでは、おおむね10～30万円が目安です。これは和紙や砂壁・真壁構造から現代的なクロスへ変更する工事が含まれます。
さらに、押し入れを現代的で使いやすいクローゼットへ改修する場合は、棚やハンガーパイプの設置を含めて20～30万円ほどです。また、襖を洋風の扉（引き戸や開き戸）に変更する工事は、5～20万円が目安となります。
これらをまとめて実施し、和室を全体的に洋室化するリフォームでは、総額40～100万円が相場とされています。賃貸オーナー様向けの参考として、工費の見通しを立てやすい金額といえます。
工事を行う際の注意点
賃貸物件で和室から洋室へのリフォームを行う際は、しっかりと注意点を確認することが大切です。以下の3点にご留意ください。
| 注意点 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 原状回復義務や管理規約 | 退去時には借りたときの状態に戻す義務があります。 | リフォームを行う前に、必ず契約書や管理規約を確認し、必要があれば管理会社や大家様へ相談してください。 |
| 段差・断熱・防音の配慮 | 和室の畳と比べたフローリングは、床の高さや冷え、音の響きを考慮する必要があります。 | 畳撤去後の下地調整や遮音マット、断熱材の使用などを検討してください。 |
| コスト・工期の把握と現地調査 | 工事全体の費用や期間を把握し、現地の状況を確認したうえで概算を立てることが重要です。 | 施工前に現地調査を依頼し、リフォーム内容と見積もりを明確にしましょう。 |
以下、それぞれの注意点について詳しく説明します。
まず、賃貸におけるリフォームには「原状回復義務」が伴います。これは、自然な経年変化や通常の使い方で生じた損耗は借主負担ではないものの、借主の過失による損傷を修復する義務があるというものです。リフォーム前には契約内容や管理規約を確認し、必要なら管理会社や大家様に相談してください。
次に、施工後の住み心地に関わる配慮も重要です。畳を撤去して洋室化する際には、床の段差や冷え、音の問題が生じやすくなります。畳の厚さとフローリング厚との違いによる段差を避けるには、下地を調整する工事が必要です。また、防音・断熱の観点から、遮音マットや断熱材を取り入れると、快適性が高まります。
最後に、リフォームの全体費用や工期をきちんと把握し、現地調査を実施したうえで概算見積もりを得ることが大切です。施工内容や使用素材により費用や期間は変動しますので、事前に明確な情報を得ることで、計画的な工事を進めることができます。
手軽に始められる洋室風アレンジ（ＤＩＹなど検討される方向け）
和室を大掛かりな工事なしで洋室風にアレンジしたいオーナー様には、原状回復可能な範囲で気軽に始められる工夫をおすすめいたします。まず、畳の上から剥がせるタイプのクッションフロアやウッドカーペットを敷く方法です。接着剤を使わず“敷くだけ”の施工であれば退去時も元の状態に戻しやすく、原状回復のハードルをグッと下げられます【出典１】。ただし、ウッドカーペット使用時は畳とカーペットの間に湿気がたまりやすく、カビやダニの発生リスクが高まりますので、定期的に外して乾燥させるなどの配慮が必要です【出典２】。
次に、壁のアレンジとして「はがせる壁紙」やリメイクシートの活用が挙げられます。和室の襖（ふすま）や壁面に貼って楽しめる手軽なアイテムが豊富で、デザインチェンジによる印象の刷新が図れます。賃貸に配慮した設計のため、退去時に剥がすことも可能ですが、施工前には管理会社や大家様に許可を得ておくことが安心です【出典３】。
このようなＤＩＹアレンジのメリットとともに、物件オーナー様が注意すべき点もあります。具体的には以下の表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原状回復の可否 | 敷くだけ・貼って剥がせる素材の利用で退去時も現状復帰しやすい |
| 品質リスク | 壁紙や床材が剥がした際に下地を傷める可能性がある。施工時の下地状態を確認 |
| 許可取得 | 管理会社・大家様への事前相談を行い、トラブルを防止 |
ＤＩＹで導入する利点としては、コストを抑えつつ入居者にとって魅力ある空間を創出できる点が挙げられます。また、施工の可逆性が高いため、賃貸経営におけるリスクを最小限に抑えながら物件の印象を向上させられます。一方で、原状回復義務がある以上、剥がす際に下地を傷つけないことや畳の劣化防止（湿気対策など）は必ず考慮すべきです。許可取得を徹底しつつ、安心・快適なリフォームを目指しましょう。
まとめ
和室から洋室へのリフォームは、入居希望者の幅を広げ、賃貸物件の魅力を高める有効な方法です。床や壁、収納スペースの変更といった具体的な工事は、使い勝手の向上やメンテナンスの手間軽減につながります。加えて、時代や生活スタイルの変化にも柔軟に対応できる点は、大きな強みといえるでしょう。工事前にはコストや管理規約、原状回復義務について慎重な確認が大切です。規模が小さいアレンジでも、工夫次第で印象を大きく変えることが可能です。自身の物件に最適なリフォームを検討し、入居者から選ばれる物件づくりを目指してみませんか。
